あじゃり

 

名前 あじゃり
性別
年齢 3才

 

アンジーが事故で逝ってから、ちょうど1年後の秋。

バイト先で貼り紙をみつけた。

「子猫もらってください。茶トラのオス猫です」

・・・茶トラのオス猫。

アンジーと同じである。

誰がなんと言おうと、絶対この子をひきとろうと思った。

もらってきた子猫は、目が開いたばかりだった。

おしっこもウンチも自分でできない。

仕方がないから、バイト先へ連れていって育てた。

すごく可愛い子猫だと思い、猫かわいがりして育てていたら、言われた。

「子猫のくせに、年寄りくさい顔してるね!」

・・・言うな〜!

認めたくなかったのに。

子猫にどんな名前をつけるか、かなり悩んだ。

かわいい名前、強そうな名前、日本男児風の名前。

悩む時間が長すぎたらしい。

妹が勝手に「あじゃり」と呼びだし、いつのまにかそれが家族に定着してしまった。

私はすごく悲しかった。

「あじゃり」なんて、坊さんみたいじゃないか・・・。

言っておきたいのだが、「あじゃり」の由来は意味は坊さんではない。

トルコに行ったとき、素敵なガイドさんに巡り合った。

ギリシア系トルコ人の、アジャリさん。

その人の名前をもらったのだ。

あじゃりが来たとき、家には長老のとらがいた。

あじゃりは最初、いっしょうけんめい、近くへいって甘えようとした。

でも、とらは自分以外の猫が許せない性質だった。

「寄るんじゃないよ!」

と、うなって撃退される日々がつづく。

が、ある日のこと。

眠っていたあじゃりは、とらのしわがれ声で目を覚ました。

寝ぼけていたので、あじゃりはてっきり、その声がお母さんのものだと勘違いしてしまった。

か細い、だが必死の声で、ミーミーと呼ぶ。

いつもの甘えた声とは比べ物にならない、悲壮な声だった。

『母をたずねて三千里』のマルコが、一歩違いで母と行き違い、海に向かって

「かあさあああああ〜〜〜ん!!」

と絶叫するようなものだ。

そばで聞いていた私たちがウルウルきてしまった。

そんな切なげな声を出されては、とらも鬼ではいられない。

だんだんと、受け入れてくれるようになった。

近くで寝ても怒らないようになった。

あじゃりは、今でもとらが大好きだ。

とらの言うことには絶対に従う。


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