あじゃり
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アンジーが事故で逝ってから、ちょうど1年後の秋。
バイト先で貼り紙をみつけた。
「子猫もらってください。茶トラのオス猫です」
・・・茶トラのオス猫。
アンジーと同じである。
誰がなんと言おうと、絶対この子をひきとろうと思った。
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もらってきた子猫は、目が開いたばかりだった。
おしっこもウンチも自分でできない。
仕方がないから、バイト先へ連れていって育てた。
すごく可愛い子猫だと思い、猫かわいがりして育てていたら、言われた。
「子猫のくせに、年寄りくさい顔してるね!」
・・・言うな〜!
認めたくなかったのに。
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子猫にどんな名前をつけるか、かなり悩んだ。
かわいい名前、強そうな名前、日本男児風の名前。
悩む時間が長すぎたらしい。
妹が勝手に「あじゃり」と呼びだし、いつのまにかそれが家族に定着してしまった。
私はすごく悲しかった。
「あじゃり」なんて、坊さんみたいじゃないか・・・。
★
言っておきたいのだが、「あじゃり」の由来は意味は坊さんではない。
トルコに行ったとき、素敵なガイドさんに巡り合った。
ギリシア系トルコ人の、アジャリさん。
その人の名前をもらったのだ。
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あじゃりが来たとき、家には長老のとらがいた。
あじゃりは最初、いっしょうけんめい、近くへいって甘えようとした。
でも、とらは自分以外の猫が許せない性質だった。
「寄るんじゃないよ!」
と、うなって撃退される日々がつづく。
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が、ある日のこと。
眠っていたあじゃりは、とらのしわがれ声で目を覚ました。
寝ぼけていたので、あじゃりはてっきり、その声がお母さんのものだと勘違いしてしまった。
か細い、だが必死の声で、ミーミーと呼ぶ。
いつもの甘えた声とは比べ物にならない、悲壮な声だった。
『母をたずねて三千里』のマルコが、一歩違いで母と行き違い、海に向かって
「かあさあああああ〜〜〜ん!!」
と絶叫するようなものだ。
そばで聞いていた私たちがウルウルきてしまった。
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そんな切なげな声を出されては、とらも鬼ではいられない。
だんだんと、受け入れてくれるようになった。
近くで寝ても怒らないようになった。
あじゃりは、今でもとらが大好きだ。
とらの言うことには絶対に従う。