白黒猫のこと (3)


とらが死んだとき、シロクロは墓参りにきてくれた。

さびしがっていたあじゃりも、それでずいぶん救われたみたいだ。

それからも、あじゃりとシロクロのつきあいは続いた。

そして再び春がめぐって来た。

3月初め、私はちょうど旅にでており、「そのこと」が発覚したときは家にいなかった。

帰国の日、迎えにきてくれた母が、車の中ではじめて教えてくれたのだ。

 「ねえ、知ってた?

  うちに来るシロクロって、2匹、いるのよ」

あじゃりの友達で、ノゾキ趣味のあるシロクロは世の中に一匹だけだ。

私達はずっとそう思い込んでいた。

だから、双子のようにそっくりなシロクロ猫が2匹、庭で大ゲンカをしているのを見て、

母はびっくりしたらしい。

・・・シロクロが分裂した!

と妹は言い、

・・・幻覚かと思った。

と母は言った。

いつから2匹になったのか、最初から2匹いたのか。

私達は騙された気分だった。

「よく似た猫」ならどこにでもいる。

アンジーとあじゃりも、模様だけならよく似ている。

だが2匹は、模様だけでなく、顔つきも、体格も、すべてがそっくりなのだ。

庭で大ケンカをした日、一匹が顔に傷をこしらえたので、やっと見分けられるようになった。

秘密がバレたせいかどうかしらないが、シロクロ達はだんだん大胆になってきた。

人の姿を見かけてもこそこそ逃げたりしない。

庭や車の上にねそべって、でーんと構えている。

門柱の上と下でくつろいでいたりする。

玄関の戸が重いな、と思ったら、シロクロがドアにもたれて寝ていたこともあった。

言っておくが、私達は彼らにゴハンをあげたりはしていない。

それなのに、勝手にうちの庭に住みついてしまったようなのである。

しょっちゅう派手にケンカをしているから、

「お宅の猫が・・・」とご近所から苦情がくる日も遠くはないだろう。

ふてぶてしい。

可愛くない。

家人の評判なんか気にもとめずに、今日もシロクロはそのへんでくつろいでいる。

あじゃり・・・あんたのテリトリーじゃないのか?

 


戻る  メニュー