エジプト(1)


 はじめに


私の夢は、体に障害のある妹と一緒にエジプトへいくことだ。
広い世界に残されたでっかい不思議をその目で見せてやることだ。
今回の旅は言ってみれば「夢の下見」。
車椅子でどこまで遺跡に近づけるだろうか?
道路は? 乗り物は? 食事は? 
情報をあつめる旅。

・・・というのが建前で。
実際はひたすら楽しい「旅行」がしたかった。
去年のインド・ネパール一人旅は、とても考えさせられたが、とても疲れる旅だったのだ。
たまにはツアーに参加して、ガイドさんに案内してもらい、食事も行き先も人任せなお気楽「旅行」もいい。
友達と笑いながら。


 旅は道連れ


めずらしく今回は一人旅じゃない!
相棒がいた。
それがナオミだ。
彼女は私と正反対。
ナオミはA型、私はB型。
ナオミが元気なとき、私は寝ている。
ナオミが凹んでるとき、私は凸んでいる。
ナオミは英語をしゃべるが、私はジェスチャーで怒鳴る。
共通点といえば背が低いのと方向音痴なことくらいだろうか。
・・・ろくな共通点じゃない。
だが私が遺跡と猫しか目に入らないとき、彼女は町の人間を視ていた。
私がガイドの話を聞いているとき、彼女はアシスタントの顔を観ていた。
私には見えないたくさんのことがナオミの目には見えていた。
2人だと、見えるものは2倍になる。
旅は2倍に広がってゆくのだ。


 日程


8日間の短い旅。
行き帰りで2日かかるから、実質6日の旅である。
6日間の内訳はこんな具合。            

ルクソール
   日本語ガイドさんに連れられて楽ちん観光。
   王家の谷、カルナック神殿、ルクソール神殿を巡る

ルクソール
   自由行動。
   朝から気球にのり、
   昼間はタクシーをチャーターして遺跡巡り、
   夕方、胃が痛くなったが持ち直してミイラ博物館にいく
夜、ガイドさんに連れられて寝台列車でカイロへ向かう

カイロ
   ガイドさんに連れられて楽ちん観光。
   ピラミッドと考古学博物館へいく。

カイロ
   タクシーをチャーターしてピラミッド巡り

まだカイロ
   自由行動
   メトロに乗ってオールドカイロへや市場へ行った

最後までカイロ
   自由行動
   じたばたしたがどこへも行き着かず、
   カイロタワーに登ってみたり、
   エジプト映画を30分ほど見たりしてた


詐欺師と戦い、下痢に倒れ、英語も通じない国で目的地をめざす、
サバイバルな一人旅とは違う。
穏やかで楽しい旅がここにはあった。


メニューへ   次へ→