エジプト(4)


 些細な話 (1)


エジプトの公用語はアラビア語である。
聞いても分かるわけがない。
だが時折、どうにも気になる言葉が聞こえてくるのだ。
 「ハマダ! ハマダ!」
・・・浜田?
頭に浮かぶのはダウンタウンの浜ちゃんの顔ばかり。
だがエジプトの街角に浜ちゃんがごろごろしているわけはないので
そのへんの子に訊いてみたら
 「ハマダじゃないよ、モハメッドだよ!」
と言われた。
やはり聞き違いのようだ。
外国語って難しい。

もうひとつが「ハクナマタタ」。
これは明らかにスワヒリ語である。
なぜ、エジプト人がしょっちゅうハクナマタタの話をしているのだろう。
『ライオンキング』のファンなのか?
と思ったら、これもぜんぜん違った。
 「ハクナマタタ?
  そりゃ、ケーキの名前だよ!」
私達の耳にも入ってくるくらい有名なケーキ・ハクナマタタ。
「ノープロブレム」という意味のハクナマタタ。
・・・どんなケーキだろう。
ちょっと怖い。


 些細な話(2) エジプシャンのケータイ事情


エジプトはケータイ王国であった。
カイロの町のどこででも、街路の露店や小さな商店でも、
おもちゃみたいな携帯電話を山積みにして売っていた。
安物ばかりではない。
最新機種は日本のものよりずっと進んでいた。
ヨーロッパが近いせいだろうか。
ノキアの製品だ。
やたら小さいくせにものすごく綺麗な動画が見られる。
それ、いくらだったの?って値段をきいたら
 「1800ポンドだよ!」
と自慢された。
日本円で3万を越す。
20円あれば地下鉄に乗れちゃう国の3万円である。
そこまでしてケータイにかける情熱って何だろうと思った。

それにしてもケータイ画面に難しいアラビア文字がすらすらと打ち込まれてゆく様子は、なんだか不思議なものだった。
ちなみにアラビア語ってこんな感じ。

  (右から読む。「だのたびねこ」)


 もっと些細な話


まとまらないので箇条書きとか。

・ ルクソールのアシスタントはクールなハンサムだった。
・ カイロのアシスタントは俳優のチャーリー・シーンに似ていた。
・ なのに日本語ガイドは「MR.ビーン」だった。
  しかも日本語が通じなかった。(いい人でしたが)

・ ある日、レストランで食事していたら、隣のテーブルが日本人観光客だった。
  おばちゃんが「醤油あるで醤油」と回していた。
・ ある日、レストランで食事していたら、隣のテーブルが韓国人の女の子だった。
  「キムチあるでキムチ」と回していた。
・ またある日、隣のテーブルが韓国人団体だった。
  「さあみんな、キムチ食べやー!」
  と、でっかいお皿にあけはじめた。
  ビニールにたっぷり2袋!
  日本人負けたな、と思った。
・ その隣では中国人団体が爆睡していた。

・ 赤紫色のジュースを出された。
  色から判断してグレープジュースと思ったが、明らかに味が違う。
   「ケチャップだ・・・」
  とナオミが囁いた。
   「ケチャップを薄めた味だよ、このジュース」
   「ほんまやケチャップや! 激マズ!」
  真剣に不味かった。
  あとでガイドさんに訊いたら「ハイビスカス」のジュースだということだったが。
  そのあとも「ケチャップ」が頭にこびりついて離れず、結局マズいままで終わった。
  
・ 土産物の安っぽい敷物に描かれた「ツタンカーメン」が、
  眉毛が太くなりすぎて「石原良純」に生き写しだった。

・ ナオミはエジプシャンにくどかれまくりだった。
  「ラクダ300頭あげるから僕と結婚しよう!」
  そんなんもらってどないするねん。


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