とら、病院へ行く(3)


虫下しをのみスッキリしたとらは、突然元気になった。

自慢の毛皮もツヤツヤだ。

よかったよかった。

・・・と思ったのも束の間。

また痩せてきた。

当たり前の話だが、虫下しでは腎臓は治らなかったのである。

再度、注射に通う日々。

院長先生は、しきりに食餌療法をすすめてくれる。

「 食べ物を変えただけで大分効果がありますよ 」

「 それはどういう食事ですか? 」

「 まあ、病人食ですねえ。どうしても味気ないものになるんですが 」

・・・とらの、食べることへの情熱は、生き甲斐と言っていいほどである。

いかに美味しいものを手に入れるか、ということに人生を奉げている猫なのである。

病人食だけ出していたら死んでしまうかも。

「 まあ、飼い主さんの考え方次第ですけどね。

太く短くか、細く長く生きるか・・・ 」

うーん。すでに短くはないと思う。

動物病院にはいろんな先生がいる。

ちょっと頼りなげな、坊ちゃん風の先生にあたった時、とらはもの凄く怒った。

「 えーい、またしてもこの若造がーー! 」

若先生は不慣れなのか、それとも怒られてびびったのか、注射を3回も失敗してしまった。

血管がシワシワで入らないのだろうが、

それにしても何回も針を射されたとらは、怒り爆発である。

次の朝、とらは物凄く具合が悪そうだった。

吐いたり下痢をしたり、寂しそうに鳴いたりした。

大急ぎで病院へ連れていくと、腎臓の数値が一気に悪くなっていた。

「 点滴しましょう 」

坊ちゃん先生は、めずらしく有無を言わさない口調だった。

点滴にはものすごく嫌な思い出がある。

アンジーが死んだ時のことを思い出してしまう。

だが、そんなこと言っていられないので、その日から点滴を打ち始め、

機械とチューブを体にくっつけたまま家に帰ってきた。

(絶対に入院させるつもりはなかった)

動けないとらのために、母がダンボールで病室をつくった。

お気に入りの座椅子を持ちこみ、ダンボールで壁をつくる。

影をつくるために屋根をつけ、床にはペットシーツを敷き詰めた。

「 すごい、庭付き一戸建て、全室トイレだ 」

と私が言うと、

「 浮浪者のダンボール小屋みたい 」

と母は言った。

  

( 病室のとらと、とらを心配するあじゃり。機械は点滴用具 )

とらは、ほとんど食べず、動かない。

心細いのか、撫でてほしいとしょっちゅうないている。

誰かがずーっと面倒をみている状態が続いている。

病状は一進一退で長引きそうだ。


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